少し話がそれますが、元々の清姫伝説が仏教説話、特に法華経に纏わる話なのは熊野に法華経が修められているからなのでしょうね。 盆と正月どころかクリスマスまで入っているレベルのごちゃまぜ具合。神仏融合もいいところです。 も、蛇道に転生した二人はその後、法華経の功徳により成仏し。 熊野権現と観世音菩薩の化身として供養した道成寺の住持のもとを訪れる。 法華経の有り難さを讃えて終わるってわけだ。 駅から続く短い参道には、釣鐘饅頭。 で、道成寺は文武天皇勅願。 奈良前・白鳳期と、和歌山県最古の� 後日、道成寺の僧の夢に安珍・清姫があらわれてそれぞれの業を嘆くので、僧はこれをねんごろに供養して、二人は成仏することができた、法華経ありがたや。醍醐天皇の御世であったという。清姫こそ平安のレディ・ストーカーだった。 清姫 （きよひめ ... はなく、またそもそも「清姫」という名前も出てこない。「邪淫と怨念に囚われた女が法華経 の功徳で救われる」という仏教説話が、悲恋ものとして脚色される過程で変質したものか。 清姫の伝説は人形浄瑠璃や歌舞伎の題材となっている。人形浄瑠璃では「ガブ」という� では、仏教説話としての記述が無くなったのは何が要因なのか……『道成寺縁起』と『日高川草紙』を比較して見てみましょう。結構致命的ですよね、「悪いのに救っちゃう法華経すごーい！」なのにその悪が居ません。不在です。居ない悪い存在を戒める事なんて出来ませんね。屏風の中の虎を縛り上げるようなものです。ですが現在、清姫伝説をに触れて「悲しい恋の話だなぁ」や「女の人を怒らせると怖いなぁ」「嘘はいけないなぁ」と思う事はあっても「仏教って凄いなぁ。有難いなぁ」とはあまり思わないでしょう。とは言え、何から話すべきなのか少々迷う……そうですね、先ず清姫伝説の物語としての認識から行きましょうか。ついでに、今回の記事のメインテーマについてももうちょっと分かり易く行きましょう。もっと言えば「（清姫伝説の寡婦）清姫って知っている？」「ああ、（道成寺物の少女）清姫だよね」といった感じ。清姫伝説の文献を辿っていくと、仏教説話の記述は『道成寺縁起』には見えますが『日高川草紙』には見えません。更に江戸時代、道成寺物が発展していくと安珍と清姫が供養される記述は一気に見なくなっていきます。全くなくなってしまう訳ではありませんが、割合でみると無い方が多くなりますね。中々に長くなりましたね。少女清姫寡婦清姫の話や細かい所での話の発展は出来るのですが、それはまた別のお話といたしましょう。なのに呆気なく失われ、恋愛譚としての話に変質する……これは何かあったに違いない……。ならば現在はどのような物語で読まれているのか、という話に移りましょう。それに、戻るべき原典に戻れば「本来の物語はそうである」と認識されるはずです。本来登場人物って物語の中に存在しますね。小説の中の人物は小説を読まないと知ることは出来ません。ですが、道成寺物によって「先に登場人物を知り」「あとから物語を知る」というねじれ状態が発生するのです。記事タイトル回収。簡単に言えば、「女なら誰でも可能性がある」ではなく、「清姫のやった事」になるんですね。この二作品の違いは何処にあるのかを挙げれば見出せそう、という事で違いをば。物語が長い時間をかけて変遷する事は珍しくありません。シェイクスピアの悲劇も演じられた当初は観客が皆笑っていたと言いますからね。最初は喜劇だったのが悲劇、といった感じです。ただ、シェイクスピアの場合は物語は変わらず、客の感じ方が変わったに過ぎません。 法華経の有難みを説く 、これは「法華経によって安珍のみならず存在そのものが悪とされる女（清姫）まで救った」という点に集約されます。 逆に言うと、 悪い存在が居ないと効力を発揮しません 。
この三つからなり、熊野三山ともいいますね。この熊野一帯や高野山、吉野大峯を含んだ紀伊山地の霊場と参詣道は2004年に世界遺産にもなっています。熊野の名前が一番最初に登場した文献は『古事記』です。712年に編さんされた、『日本書紀』と並ぶ日本最古の国書。ざっくばらんに言えば神代までさかのぼった日本の歴史書、神話の領域ですね。そんな熊野ですが、大昔は修験者たちの修行場でした。険しい山の奥地ですからね。精神や肉体を鍛えるのにはぴったりだったでしょう。少し話がそれますが、元々の清姫伝説が仏教説話、特に法華経に纏わる話なのは熊野に法華経が修められているからなのでしょうね。そして現代となり、世界遺産登録も相まって熊野は日本のみならず世界でも重要な意味を持つこととなるのでした。去年の四月、まだ平成だった頃にフランスではノートルダム大聖堂が延焼してしまいましたね。不謹慎ながらも燃えるノートルダムが余りにも美しかったので、その時初めてノートルダムに行きたいと思いました。滅びゆくまでが芸術なのかな、と無い感性で勝手に思ふ。古事記で飛ばしすぎてエネルギーが切れたとかそんなんではないです。いきなり雑になってはいません。このカシオミニを賭けてもいい。神武天皇は天照大神の子孫だったり130年も生きたりしているので、流石神代の人物と言わざるを得ない。熊野という場所は、宗教というよりもむしろ「信仰そのもの」の空間です。信仰という概念を持った土地。何か有り難い物が熊野にあるのではなく、熊野そのものが有り難い場所であるという、なんとも摩訶不思議な場所ですね。まあそれでも伊勢にははるか及ばないのですが。ピーク時に200万人くらいが伊勢にはいっていたそうです。（当時の人口は3000万人ちょっと）さて、古事記には神武天皇が熊野から大和に至ったとあります。神武天皇は日本の初代天皇で、紀元前7～8世紀、2600年以上も昔の人ですので、そう捉えるとそんな大昔から熊野は特別な場所とされていたわけですね。ちょっと触れましたけども、偉いお坊さんが700年代に法華経を修めており仏教的な思想が入っていたのは勿論、那智の滝を代表するように滝や山、海そのものに対する自然信仰、加えて古事記や日本書紀の記述から神道の考えまで入っています。しかし江戸時代には伊勢と並んで一生に一度はと言われたほどの熊野三山。かの若僧安珍もはるばる奥州からきて何を求めたのか。ですが、いくら世界遺産とはいえ、行く機会が無ければ行かないですし言い方を変えればただの神社仏閣。神様仏様に用事があるのならばそんなわざわざ僻地に行かずとも地元の神社やお寺に毎日参拝へ行ったとて何が変わるというのか。因みにこの法隆寺に関して、日本が誇る芸術家岡本太郎は「燃えて結構」と言っています。不謹慎さぶっちぎりですが、古いものを大切にし過ぎて創造性を失ってしまっては、法隆寺を立てた時に先人達が持っていた創造性を受け継がず放棄してしまう事になる、という意もあるようです。日本の古き建築物と云えば神社仏閣の類。建造物は古いだけで価値を持ちます。それは歴史も勿論、用いられた技術が現在の技術では再現不可能だからだったりもします。法隆寺は伝わるところによると1400年も前に建てられましたが、そんな法隆寺にも負けず劣らずの古寺こそ我らが道成寺。702年に建立されたといいますが、和歌山県最古のお寺です。和歌山県どころか全国で見ても相当に古い方でしょう。盆と正月どころかクリスマスまで入っているレベルのごちゃまぜ具合。神仏融合もいいところです。因みに、熊野の本宮の方へ行くと三本足のカラス、八咫烏がモチーフデザインになっているのが散見されます。これは神武天皇を導いたとされる逸話に基づくものでしょうね。さて、日本で歴史ある建造物といえば法隆寺。柿を食べるたびに鐘が鳴ってくれます。このお寺には鐘がある。それに昨今『霊場』なんてものに縁がありません。少々イメージが湧き辛い場所かもしれません。その後、『日本書紀』ではイザナミノミコトが葬られた場所とされていたり、偉いお坊さんが法華経を修めたり凄い人がいっぱい来たり若くてイケメンでこの後焼死体となって発見される人が来たり戦乱の世に振り回されたりします。さて、古事記の内容の可否はともあれ、ここから考えると編さんされた当時既に熊野がある程度特別な空間や場所という認識が無ければわざわざそんな壮大な舞台の一つにされないでしょう。すなわち、700年頃かそれ以前から特別な場所だったんですね。因みに、1800年頃のピーク時には巡礼者は一年に3万6千人ほどとなっていました。当時と成れば道はあれど公共交通などもなく、しかも和歌山というやや僻地。相当に人気観光地です。観光地という言い方が正しいかはともかくとして。 【安珍･清姫】より …その内容は，女の愛欲心や怨恨の念が成仏の障りになることを説き，最後に法華経の功徳によって成仏するを得たとする仏教説話である。
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